<事例の紹介>自分の部屋で病識を持てた事例

高校生女子(17歳)、リストカットと大量服薬をする習慣がありました。
学校は休みがちで、数回の外来受診のあと、精神科訪問看護の存在を知り、週2日の予定で自宅に来てもらうことにしました。

訪問初日、看護スタッフはご両親と本人に、医師の診断が「解離」と呼ばれるトラウマ反応であることをわかりやすく説明しました。

訪問到着すると、すぐに医師の指示した漢方薬の服薬指導を行い、目の前で一緒に飲んでもらう事をルーチン化しました

訪問に慣れてくると、本人の部屋でどのようにしてリストカットや大量服薬をしているか、(安全を確保たうえで)物差し等を当てて、リストカットを実演してもらえるようになりました。すると、別のイメージ(人格)が本人の中に浮かんで実行している事や、意識が戻った際に「こんな事になるとは思っていなかった」と反省を繰り返していることがわかりました。本来の自分とは異なるもう一人の自分が、あらわれてトラウマ反応を起こしていたのです。
このように訪問看護により、自分の部屋で病識を持つことで、自然とリストカットも減り、大量服薬もなくなったケースでした。
この春、無事に大学に進学しました。